日本小児神経学会

会員専用ページログイン

医学生・研修医・若手小児科医の皆さんへ

Last Update:2024年5月10日
 どんな病気を扱うのか、専門医取得後のキャリアパス、小児神経を目指す若手医師へのメッセージなど「小児神経」に関する情報を順次公開していきます。

小児神経を専門とする医師は、どんな病気を診るのでしょう?

成長発達期にけいれん、運動、知能、感覚、行動、言葉やこころの問題などの神経系の機能障害をおこす病気の診断、治療、指導、支援を行っています。中枢神経(脳・脊髄)、末梢神経、筋肉等に原因のある疾患を幅広く診ています。

小児神経専門医の研修項目や到達目標には600以上もの疾患が挙げられています。一般小児科医が日常診療で対応を求められるcommon diseaseから、極めて稀にしか遭遇しないrare diseaseまで様々です。染色体異常などの先天異常症候群、神経発生異常、先天代謝異常、神経変性疾患、神経皮膚症候群、脳性麻痺等の周産期神経疾患、急性脳症・脳炎や髄膜炎などの中枢神経感染症、自己免疫性神経疾患、神経系の外傷、中毒・栄養障害、脳・脊髄腫瘍、脳血管障害、てんかん等の発作性疾患、脊髄性筋萎縮症、末梢神経障害、筋疾患、脳腫瘍、不随意運動、自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症等の神経発達症、睡眠障害、頭痛、自律神経障害、小児心身症等多岐にわたります。

その症状も多様で、けいれん等の発作、意識障害、運動発達の遅れ、筋緊張や筋力の低下、歩容の異常やふらつき、眼球運動の異常、嚥下障害、言語発達の遅れ、発達退行、不随意運動、感覚の異常、多動や衝動性、自閉傾向、学習の問題、頭痛、睡眠障害など様々です。

小児神経を専門とするためのキャリアパスとは?

JSCN_careepass

 

小児神経学を専門とするためのキャリアパス  (拡大版)

たとえばこんなところで役に立ちます。

  • 救急・集中治療でてんかん重積状態や急性脳症の診療などに役立つ。
  • 新生児医療で脳障害の診療に役立つ。
  • 一般病院でてんかん診療、発達評価などに役立つ。
  • 開業クリニックで発達障害の診療などに専門性を発揮できる。
  • 地域の乳幼児健診、就学時健診で専門性を活かせる。
  • 障害児医療施設で脳性麻痺、重度障害児など専門的に診療できる。
  • 医療的ケア児の対応にも強くなる。
  • 大学・研究機関などで子どもの病気、成長発達に関わる研究ができる。

 

 小児神経学が扱う領域は非常に広範に及び、小児科学や小児医療に関わる広い分野と深く結びついています。また、小児の最大の特徴である成長・発達に深く関わっています。そのため、基礎として小児科学を学び、小児科医としての知識と技量を身に着けることが極めて重要です。小児神経専門研修は、小児科専門研修を基盤としており、原則的に小児神経専門医は小児科専門医のみが取得可能な制度となっています。小児神経専門医の指導を受けられる施設での研修、日本小児神経学会の学術集会や地方会、セミナー等を通して専門的知識や技能を習得し、小児神経専門医を目指します。

小児神経専門医取得後は、さらなる専門分野の研鑚を積み、それぞれの領域の専門資格の取得を目指すことができます。取得者が多い資格としては、日本てんかん学会のてんかん専門医、日本人類遺伝学会の臨床遺伝専門医、日本臨床神経生理学会の脳波専門医、子どものこころ専門医機構の子どものこころ専門医などが挙げられます。

小児神経の専門性は、様々な領域で役立ちます。救急・集中治療の現場では、多くの専門医がてんかん重積や急性脳症の診療でリーダーとなって活躍しています。新生児医療では、重症新生児仮死などの脳障害の診療に役立ちます。小児の発達を評価し、対応することができるため、一般病院や診療所での小児科診療、地域の乳幼児健診でもその知識と技量が活かされます。神経発達症の診療でも、小児神経科医が多くの子どもたちの診療にあたり、支援を行っています。脳性麻痺等に対して療育病院で重症心身障害児医療に取り組んだり、医療的ケア児に対して専門性を活かして在宅診療を担ったりするなど、急性期のみならず慢性期医療の専門家としても活躍しています。小児神経の対象疾患の幅広さは、小児神経を専門とする医師の取り組みの多彩さ、活躍の場や働き方の多様性に繋がっています。個々の専門性を活かしつつ、ライフステージに合わせた働き方が可能です。昨今小児神経学会の会員数は増加しており、女性や若い医師の活躍も目立っています。

小児神経疾患には、原因が不明で、根本治療法のない難治性疾患も多くみられます。しかしながら、近年の遺伝子解析技術の進歩により、多くの疾患の病因が解明されています。また、遺伝子治療の臨床実装が始まるなど、小児神経診療には特に大きな変化がみられ注目を集めており、その進歩は今後さらに加速すると予測されます。病態解明や治療法開発を目指し、研究に取り組む医師の活躍が大きく期待されています。日本小児神経学会は、小児神経領域の医薬品や医療機器の実用化に向けた研究を推進するため、研究者の育成・支援や医療行政との連携強化に努めています。

小児神経科医を目指す方へメッセージ

小児神経科医として活躍中の先輩方からのメッセージを紹介します。 
テキストをクリックすると以下のメッセージが開きます。

  1. 育児は育自
  2. 小児神経の分野には様々な選択肢あり
このページの先頭へ