日本小児神経学会

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Last Update:2019年5月9日

小児神経Q&A

Q80:自閉症について教えてください
④自閉症と合併しやすい発達障害はありますか

 自閉症の診断基準には入っていない多動性や感覚の過敏性も自閉症と関係があるのでしょうか?
 多動性は注意欠如・多動性障害(ADHD)の主症状として発達障害の行動特徴として有名になりました。不注意(注意の転導)と多動性は幼児期の自閉症の特徴でもあります。当初のDSM-IVの診断基準では自閉症とADHDを同時に診断名とすることが出来ませんでしたが、最近の診断基準(DSM-5)では両方の障害を同時に診断出来るようになりました。視覚認知の強い自閉症の子どもは、目から入ってくるおびただしい情報を処理するためにはどうしても導線が長くなります。したがって自閉症に多動性を認めても矛盾しませんし、自閉症の子どもに不注意、多動性・衝動性が全面にでてきて、そのために対処が困難になることも珍しくありません。
 このような場合の支援には自閉症だけではなく、ADHDの診断も必要です。感覚過敏はDSM-5の自閉症(正確には自閉症スペクトラム障害)の診断基準では重要な項目になっています。 

 発達の凸凹(得手不得手が激しいこと)の背景には特有の感覚の過敏と鈍麻(例えば痛みには強いが触覚の過敏さ)が存在するのだと考えられます。

林   隆(西川医院発達診療部発達障害研究センター)2019年5月1日改変

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