日本小児神経学会

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学術論文査読不正に対する一般社団法人日本小児神経学会としての意見表明と対応

Last Update:2023年7月3日

 2022年6月に学術論文の査読不正が報道されました。学術論文は、当事者のみならず社会に科学的根拠を提示する礎となるものです。査読は、公表前の学術論文に対して、科学者のオートノミーに基づいた科学的評価を行うことで成り立ち、学術論文の妥当性、信憑性を高める基盤です。学術論文の査読不正は、科学への信頼を毀損する、社会に対する背信行為です。
 事態を重くみた文部科学省は、査読に関する対応指針を作成するため、日本学術会議に審議を依頼し、日本学術会議が現在審議中です。報道された論文内容は本学会が取り組む範囲と重なっており、本学会も危機感を持って下記の対応を行ってまいりました。
①英文機関誌「Brain & Development」および邦文機関誌「脳と発達」に掲載された論文において、当該不正が報道された研究者が査読不正を行っていなかったかどうか調査しました。その結果、「Brain & Development」と「脳と発達」においては、不正は確認されませんでした。
②全評議員を対象として、論文投稿時に査読者との連絡など査読不正が疑われる行為の有無に関しアンケート調査を行いました。その結果、新たな不正は確認されませんでした。
③2023年5月の学術集会で、「Brain & Development」と「脳と発達」の各編集委員会および倫理委員会の3委員会合同主催セミナー『論文査読不正に学会としてどう対応すべきか?』を行いました。毎日新聞東京本社記者の鳥井氏に報道の立場から、エルゼビア本社の出版倫理担当Grecea氏から出版社としての取組み、東北大学の長神氏からアカデミアの取組みについてそれぞれ御講演いただき、広く学会員で問題点を共有致しました。
 公正な査読は研究活動の根幹です。本学会として学術論文の適切な査読体制を今後も築いていくことを表明します。また、一般の方々にも、我々の研究活動が公正であると評価していただけるよう努力し続けます。
 今後ともご指導・ご支援のほどお願い申し上げます。

2023年7月
一般社団法人日本小児神経学会 理事長 加藤光広
「Brain & Development」編集委員会 担当理事 夏目淳
同 前担当理事 小林勝弘
「脳と発達」編集委員会 担当理事 山本俊至
倫理委員会 担当理事 竹島泰弘
同 前担当理事 伊東恭子

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