日本小児神経学会

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Last Update:2019年7月3日

小児神経Q&A

Q2:どのような子どものてんかんに対して手術ができますか?

 抗てんかん薬(AED)で発作を止めることが出来ない薬剤抵抗性てんかんの治療、発達の遅れの軽減や防止、転倒によるけがの防止を目指すなどの目的でてんかん患者さんに手術を勧めます。脳の形の異常(限局性の皮質脳形成異常、異所性灰白質、腫瘍、局在性破壊性病変、瘢痕、血管病変、海馬硬化や海馬萎縮など)があれば、AEDでは発作は止まらないので早めに手術を考えます。特に、片側巨脳症に大田原症候群やウエスト症候群(点頭てんかん)、皮質形成異常があり乳児期早期発症で発作が頻発するものは発達も極めて悪くなるため、早期に手術を考えます。手術年齢に決まったものはなく、手術に耐えられると判断されれば生後2か月でも行われます。
 脳の形の異常がなくても、部分発作であって、発作が週1回以上、または知的退行、性格変化、行動異常が出現した場合、あるいは発作は月1回程度でもけがを伴う危険な転倒発作がある場合も手術を考慮します。成人の場合は、その発作に適切と思われる2種類以上のAEDを1年以上使用しても抑制されない場合、外科的治療を検討するとされていますが、小児の場合は3種類以上のAEDで止まることもあり、一方で1年は待たずにより早期の手術を考えます。
 全般発作あるいは焦点が推測されないてんかんでも、けいれんが持続することで発達を大きく妨げると考えられるもの(ACTH療法が無効なウエスト症候群、転倒発作や発作がほぼ毎日あるレンノックス・ガストー症候群など)や、脱力転倒発作などけがをしやすいものも手術を考えます。
 AEDでてんかん発作が止まっている場合や、難治でも乳児重症ミオクロニーてんかんなど遺伝子異常が原因であるてんかん、進行性疾患に伴うてんかんは通常は手術治療適応外です。

須貝研司(重症児・者福祉医療施設ソレイユ川崎)2019年5月1日改変

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