日本小児神経学会

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Last Update:2017年2月6日

小児神経Q&A

Q74:発達障害の子どもの薬物療法でどのような効果が得られますか?

Q32-1も参照ください。まず子どもが環境を理解しやすくなり、コミュニケーションしやすくなる、見通しが立ちやすくなる効果があります。環境の構造化、自閉症の理解の促進、社会技能の訓練、コミュニケーション技能の訓練なども同時に併用することが重要です。さらに、ストレス、不安、イライラ、「うつ」を和らげ、子ども達のサポートする心理的ケアや、子ども達自身からこれらを解消しうる良い趣味を持たせることも求められます。その上で必要な場合、薬物治療を併用します。
中枢神経刺激薬は多動性のある子どもに使用されます。時に状態が悪化することもあるので、その場合には直ちに中止します。有効な場合には行動の統制がなされ、環境に対する理解が促進し、混乱状態がなくなり、霧が晴れ頭がすっきりしたと表現するような子どももみられます。
攻撃性、多動性・衝動性、興奮などは環境の理解に困難をきたして混乱をした状態で起きやすく、周りを巻き込んで様々なトラブルを引き起こします。また、心理、教育的な治療に導入が困難な状態になることもあります。抗精神病薬、循環器用薬などによる治療は、このような行動上の問題を抑制、緩和するのみならず、子どもたちの精神的ストレスを減らしこころの安定をもたらします。さらに治療教育への導入を容易にします。

自閉症スペクトラムの子どもは、表情の読み、言語化されないジェスチャーや仕草・態度などの非言語性の変化に気づき対応する能力の欠如、通常無意識下で自動的に行われる社会性の認知がうまく行われないなどの問題があり、自分の置かれた環境への理解が困難です。また、想像力の障害から見通しが立たず近い未来に起こることの予想が立ちにくいという特徴を持ちます。このような状態から不安感が強く、このことがストレスとなり、常に精神的緊張状態に置かれる結果、些細なきっかけでキレルことも多いです。さらに、言葉を話すことのできる子どもでも、多くの場合は適切なタイミングで話したり、簡単な言葉で自分の意思を説明することが苦手であることからイライラ感なども起きやすくなります。薬物による不安の軽減は突発的で爆発的な行動上の問題を少なくします。ネガティブな体験でなく、ポジティブな体験を重ねることにより、被害的な感情と自己防衛反応から攻撃的になることが阻止され、自信と共に気持ちの余裕ができ、人の意見を受け入れやすく受容的となります。

(徳島赤十字ひのみね総合療育センター 橋本俊顕/2016年7月QA委員改変)

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