日本小児神経学会

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Last Update:2022年12月16日

小児神経Q&A

Q45:ナルコレプシーの検査、治療について教えてください。

 ナルコレプシーには、眠気に関する検査、オレキシンに関する検査、免疫に関する検査があります。昼間暗い部屋で横になっていただき、眠るまでの時間を2時間ごとに脳波を記録する検査(反復睡眠潜時検査)で眠気を測るのですが、この検査をきちんとできる施設は日本ではまだ限られています。オレキシンの測定は研究レベルでしかおこなわれておらず、免疫に関する白血球型の検査も日本では保険適応は認められていません。怠け者とのレッテルを貼られてしまっている患者さんもまだ相当おいでのようです。正しい理解で、患者さんに適切な治療を提供できることが望まれます。睡眠発作や情動脱力発作が薬で改善される場合もあります。また、「眠くなる」病気なのに、夜はしっかりと眠れない患者さんも少なくありません。そのような場合、睡眠導入剤の併用が必要にもなります。理論的にはオレキシンの少ない方にはオレキシンを補充すると良いのですが、それはまだ実用化されていません。また、短時間眠ることで一時的にせよ眠気がなくなることが多いので、患者さんがご自身で様々に日常生活に工夫して過ごされている方が多いようです。なおこの病気の方では肥満や糖尿病の合併が多い事や夜間の眠りの質が悪い事も指摘されています。このようにナルコレプシーは診断にも、その後の薬物治療にも経験が必要です。是非専門の医師に相談していただきたいと思います。

2022年10月 日本小児神経学会広報交流委員会QA部会

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