日本小児神経学会

会員専用ページログイン
Last Update:2017年2月6日

小児神経Q&A

Q35:ボツリヌス(ボトックス)治療の副作用について教えてください。

経験する副作用のほとんどは、治療した筋肉の過度な脱力です。この副作用は、くすりの量を少なく設定すれば回避できます。また、のみ込みの弱い重症心身障害児の場合、嚥下や呼吸が弱くなる副作用をみることがあるので、たとえ手足の治療でも、できるだけ少量から治療を開始します。ただし、これらの副作用が重篤であることは極めてまれで、1~4週間以内には自然回復します。治療の間隔には、投与するボトックスの量が関係します。実際にくすりの量が少ないと、効果が不十分だったり、1~3ヶ月の短い期間で効果が消失します。逆にくすりの量が多いと、効果は4ヶ月以上持続しますが、副作用を生じやすくなります。望ましい治療経過とは、問題となる副作用がなく、治療効果は4~5ヶ月間持続し、5~6ヶ月おきの治療でよい場合です。したがって、ボトックスの投与量は、そのような有効期間が得られるまで、段階的に増量します。また、リハビリテーションも重要で、毎日のストレッチと運動療法によって、治療効果がより長く持続し、副作用も防ぎやすくなります。多くの場合、1回の治療で10ヶ所以上に注射をするので、安静を保てない非協力的な小児では、医療安全上かつ本人の心的外傷を最小限に軽減するために、鎮静して治療するのが適切です。局所麻酔薬のテープやクリームもいくらか有用ですが、吸入麻酔薬あるいは静脈麻酔薬による鎮静の方がより確実です。

(横浜療育医療センター神経小児科 根津敦夫/2016年7月QA委員改変)

このページの先頭へ