日本小児神経学会

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Last Update:2019年5月1日

小児神経Q&A

Q32:重度障害を持つ子どもに睡眠薬を使っても良いのでしょうか?

 Q31もご参照ください。重度障害を持つお子さんの場合の睡眠には、特別な配慮を要します。ご質問の睡眠薬ですが、薬の種類によっては分泌物が増加して呼吸のゼロゼロがひどくなったり、筋肉の緊張が薬により緩むことで舌根が落ち込んで気道を塞ぎ、いびきや無呼吸を強くすることがあります。このような呼吸上の問題はさらに睡眠障害を助長して悪循環になってしまいますので、睡眠薬をご自分の判断で安易に使用することは絶対に避け、必ず主治医の指示のもとに使用するようにして下さい。
 重度障害を持つお子さんの睡眠障害は、てんかんや便秘を悪化させたり筋緊張を強めるなど種々の二次的な問題につながります。逆に言うと睡眠の問題が改善すると付随する問題も改善するということであり、積極的な対応を心がけるべきです。障害を持つお子さんの睡眠障害はなかなか手強くてご家庭での関わりだけでは解決できないことも多く、正しい使い方をすれば睡眠薬も大きな助けになり得ます。主治医に相談され根気よく対応することをお勧めいたします。

田中 肇(北海道立旭川肢体不自由児総合療育センター)2019年5月1日改変

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