日本小児神経学会

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Last Update:2017年2月6日

小児神経Q&A

Q11:重度脳性麻痺のこどもの筋緊張対処について教えて下さい。

重症心身障害児の筋緊張異常は、1)亢進:痙直や固縮、痙直と固縮の混在、2)低下:筋力低下と関節の過伸展、3)変動:アテトーゼやジストニーなどの不随意運動、に分けられます。重症心身障害の8~9割は、痙直・固縮またはアテトーゼの筋緊張亢進を示します。筋緊張亢進は関節変形・拘縮、側彎症のみならず呼吸、循環、消化器障害などの二次的な合併症を引き起こし、さらに、これらの合併症が逆に筋緊張亢進を増悪させる可能性があります。そのため、筋緊張亢進(過緊張)に対する対応・治療は重症心身障害児の生活の質(QOL)を維持する上で重要です。

過緊張に対する治療としては、以下のものがあります。

1.訓練を含めた一般的対応

ポジショニング:個々の運動障害や変形・拘縮を考慮してリラックスできる体位姿勢をとらせる。クッション・枕やベッド素材を工夫することも良い方法です。しかし、良姿勢でも長時間同一姿勢をとらせることは問題であり、普段より色々の体位が取れるように工夫することも重要です。最近、腹臥位(うつ伏せ)が筋緊張緩和や排痰に有効とされています。

生活リズムや心理的対応:睡眠障害や生活リズムの乱れ、環境の急変・過度の刺激は筋緊張亢進に繋がるために、安定を図ることが重要です。

訓練や補装具:関節可動域訓練や筋マッサージは変形・拘縮予防のみならず機能維持のために重要であり、定期的に実施する必要があります。また、安楽な姿勢保持を目指しての座位保持装置、車椅子、クッションチェアも有用です。

2.薬物療法

ベンゾジアゼピン系薬剤:使いやすく、鎮静、催眠効果を併せ持っている。
抗痙縮薬(筋弛緩剤):末梢性と中枢性があります。薬物療法については主治医の先生とよく相談して、症状に合った薬物を選択することが重要です。また、異常筋緊張亢進時には座薬などを使用することもあります。

3.ボツリヌス療法・外科的療法

近年、従来の筋解離術、神経ブロックに加えてボツリヌス菌毒素の筋肉内注射、バクロフェン髄注療法、機能的脊髄後根離断術なども実施されるようになってきています。筋緊張異常(特に筋緊張亢進)は重症心身障害においては基盤をなす障害であり、日常生活、心理的要因、二次的合併症など広範な因子や問題と密接に関連しています。そのため、内科的療法を含めて広範囲でかつ多職種からのアプローチが必要です。

(長岡療育園 小西 徹/2016年7月QA委員改変)

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