日本小児神経学会

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Last Update:2019年7月3日

小児神経Q&A

Q4:どのようなてんかんに対してどの手術が適切ですか?

 MRIで脳病変が明らかな場合はてんかん発症からの期間は問わず早期に手術を考えますが、特に乳児期早期発症で発作が頻発するものは早急に手術を行います。それ以外の場合は、十分に検査を行って手術の適応、範囲、方法を検討することが急ぐことより重要です。

半球離断術、機能的半球切除術:片側巨脳症や片側性の巨大な大脳皮質形成異常などに対して行い、病変がある大脳半球の前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉と脳の中心に近い所(基底核)との神経線維の連絡を切断し、脳梁も離断する手術で、異常な脳半球のてんかん波から正常な脳半球を守る目的で行います。

病巣切除術、病巣離断術:限局性皮質形成異常、腫瘍、頭部外傷後など発作の出どころが脳の一部である場合にその部分を切り取るか、切れ目を入れて神経のつながりを断つ方法です。

脳梁離断術:頭部MRIやPET、SPECTでも局在性の異常が見つからないが難治で発達や日常生活を妨げるか転倒する危険な発作(ウエスト症候群やレンノックス・ガストー症候群など)に対し、左右の大脳半球を結合している脳梁を取り除く方法で、発作波が一気に脳全体に広がることを防ぎます。発作焦点が決められない場合に発作焦点を明らかにするために行う場合もあります。

軟膜下多切術(MST):運動や言語など重要な働きがあって切除できない部分に対し、脳表の直下にマス目状に浅い切れ目を入れ、発作波が広がるのを防ぎます。

迷走神経刺激術(VNS):左の脇に刺激装置を埋め込み、左の首の迷走神経にワイヤを巻き付け、電気刺激を行う治療法で、局在性の異常が見つからないあらゆる難治なてんかんに対して行うことができます。刺激条件を調節する必要があり、効果はすぐには出ず、また発作が止まることはまれですが、減らすことはできます。開頭しなくてもよいので、軽い手術ですみます。

以上の手術法1つでなく、組み合わせて行う場合もあります。担当の先生にまず相談してみてください。

須貝研司(重症児・者福祉医療施設ソレイユ川崎)2019年5月1日改変

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