日本小児神経学会

会員専用ページログイン
Last Update:2021年6月4日

小児神経Q&A

Q88:熱性けいれんを起こしたことがあるこどもは予防接種を受けていいですか?

 熱性けいれんは、こどもの約5~6%が経験するといわれ、頻度の多い予後良好の疾患ですが、発症年齢のピークがちょうど生後1~2歳と多種類の予防接種時期と重なるため、現場の接種担当医やかかりつけ医などが戸惑うことの多い疾患でもあります(Q20. 熱性けいれんはどのような病気ですか?)。
 一方、1994年(平成6年)に予防接種法の大幅な改正が行われ、従来の集団接種(集団防衛)から個別接種(個人防衛)に変わり、熱性けいれんやてんかん(Q1. てんかんをもっている児は予防接種ができませんか?)などのけいれん性疾患をもつ小児でも医学的判断を重視し、より積極的に予防接種を行うようになりました。
 そこで本学会では、推薦基準を策定し、熱性けいれん診療ガイドライン2015の予防接種項目(CQ8)でも詳しく解説しています。
 その接種基準によれば、「現行の予防接種はすべて接種してよい」とされています。
 ただし、熱性けいれんの既往のある者は接種要注意者(原則接種するが、接種に際し注意が必要な対象)とされていますので、当該ワクチンの必要性、予想される副反応などの説明を十分うけ、同意をすること、具体的な発熱や発作への対応策の説明を事前にうけておくことが重要です。
 接種当日の体調に留意すればすべてのワクチンをすみやかに接種されて構いませんが、初回の熱性けいれんの場合はけいれんを来たす基礎疾患やほかの神経疾患との鑑別、紛れ込みなどを防ぐため一定の経過観察期間(長くても2~3か月間に留める)が必要となります。ただし、この2~3か月という期間に特別な根拠はなく、児の背景や流行状況などを考慮して主治医(接種医)の判断で変更(短縮)も可能です。
 ワクチン接種後の発熱については、他の感染症にともなう発熱と同様に扱い、事前に対応策を相談しておきましょう。また予防接種後の発熱率は個々のワクチンにより異なっていますが、現在主流のワクチン組み合わせによる同時接種1)でも発熱率が高まることはないとされており、多種類のワクチンで防げる病気(Vaccine Preventable Disease, VPD)に対して早期に効率的に免疫を付け、熱性けいれんがあっても安心して日常生活をおくれるよう、主治医やかかりつけ医と相談し、接種計画を立てましょう。
 なお遷延性熱性けいれん(けいれん時間が15分以上)の既往がある場合はワクチン接種後の発熱や発作に対する具体的対応策を小児科または小児神経専門医との相談も考慮しながら事前に担当主治医と十分話し合っておきましょう。

1)日本小児科学会の予防接種の同時接種に対する考え方

(福山市こども発達支援センター 伊予田邦昭)

このページの先頭へ