日本小児神経学会

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Q61:チックの治療について教えてください。

小児神経Q&A

Q61:チックの治療について教えてください。

 治療が必要となるチック障害は、その症状により社会的、職業的、または、ほかの重要な領域での機能の著しい障害がひきおこされる場合です。逆に生活にそれほどの支障を来たさないチックは治療の対象にはなりません。また治療や対応を考えるとき、どんな機序でそれが発生するかを知る必要があります。
 ドパミン、セロトニンは行動や情緒面に影響を及ぼす脳の代表的な神経伝達物質です。チックの発現には、脳の連絡を行うドパミンD2受容体の過感受性が関与するといわれ、その基盤には遺伝素因があると推測されます。また、発達過程でドパミン活性が低下すると前述の回路の他、前頭葉の機能的および形態的発達も障害され、情緒や知的行動の問題を引き起こす要因となるともいわれます。ドパミン神経は環境の影響は受けませんが、大脳基底核・視床・皮質回路には環境の影響を受けるセロトニン神経も入ってきており、その活性低下とそれを引き起こす環境要因も影響します。様々な病態が考えられますので、小児神経専門医に相談することをお勧めします。

2022年10月 日本小児神経学会広報交流委員会QA部会

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