日本小児神経学会

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Last Update:2023年3月2日

小児神経Q&A

Q18:障害を持つこどもが利用できる福祉制度(手帳や自立支援医療など)について、教えてください。
④運動障害を持つこどもが利用できる福祉制度

(1)身体障害者手帳

 身体障害の種類により12種類あり、運動障害のあるこどもに該当するのは「肢体不自由」ですが、先天性ないしは周産期の疾病による運動障害の場合には「脳原性運動機能障害」という書式を用いることもあります。居住する区市町村の障害福祉担当課から該当する診断書の書類を入手し(医療機関によっては備えてあります)、障害判定の資格(身体障害者福祉法15条指定医)をもつ医師に診断書を記載してもらい、障害福祉担当課に手帳申請書と共に提出します。該当するか否かは診断書によって審査され、該当する場合は障害程度によって1~6級に区分され手帳が交付されます。診断書の書式は区市町村によって若干異なりますが、他都道府県在住の指定医が記載することは問題ありません。
 手帳が交付されると、医療費助成、補装具等の交付、各種税金の優遇、自動車に関係するサービスの補助、公共交通機関の運賃や公共施設の入館料の割引など、自治体や企業ごとに様々な支給があります。いずれも自治体によって基準や運用が異なり、所得制限のあるものもあります。これ以外にも手帳交付に伴って自治体独自の福祉制度が利用できる場合があります。
 障害の程度によっては「特別児童扶養手当」や「障害児福祉手当」の支給の対象になります。手当の申請には医師の診断書が必要なことがあります。これら手当の支給は家族の前年度の所得によって制限があり、施設入所児の場合は対象外になります。いずれもお住まいの区市町村福祉担当課で問い合わせてください。

(2)障害福祉サービスと障害児通所支援サービス

 自宅における生活全般にわたる援助が受けられる居宅介護(ヘルパー)や、介護者の疾病などの理由により児童福祉施設等への短期間の入所ができる短期入所(ショートステイ)など、障害者総合支援法に基づく「障害福祉サービス」を利用することができます。さらに、児童発達支援(未就学児の通所)、放課後等デイサービス(就学児の放課後通所)など、児童福祉法に基づく「障害児通所支援サービス」を受けることができます。
 いずれも、区市町村福祉担当課窓口に相談に行き、「申請書類」と「障害児支援利用計画案」を提出し申請します。身体障害者手帳がなくても申請できますが、その場合は支援の必要性を示す医師の意見書を求められることがあります。「障害児支援利用計画案」はご家族が記載することもできますが、障害児相談支援事業所の相談支援専門員に作成を依頼すると、書類作成だけでなく、支給決定後のサービス事業所との連絡調整などもしてもらえます。
 支給決定されると「障害福祉サービス受給者証」ないしは「通所受給者証」が発行されますので、ご利用希望の事業所に「受給者証」を提示し、利用契約を結ぶことで利用が可能になります。
 サービス費用の9割が自治体負担で1割が自己負担となります。利用者負担額には世帯の所得に応じた区分の負担上限月額が定められていて、受給者証に記載されています。

(2023年2月 日本小児神経学会ホームページ委員会QA部会)

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