日本小児神経学会

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Last Update:2023年3月2日

小児神経Q&A

Q18:障害を持つこどもが利用できる福祉制度(手帳や自立支援医療など)について、教えてください。
③てんかんを持つこどもが利用できる福祉制度

(1)小児慢性特定疾病医療費助成

 この制度は、該当する疾患の場合、世帯の所得に応じて、一定の基準額を超えた分の医療費が助成されます。重症認定されたり、人工呼吸器を装着していたりすると、さらに負担額が減ります。てんかんでは、点頭てんかん(ウエスト症候群)、レノックス・ガストー症候群などの難治てんかんで、一定の診断基準があるものは、助成対象となっていることが多いです。また、てんかんを起こす原因として、脳形成障害や染色体異常、先天代謝異常などといった病気がある場合も、その病気がこの制度の対象となっていれば、助成を受けることが可能です。対象疾患は、小児慢性特定疾病情報センターのHPをご覧ください。新規申請は、18歳までで、20歳までは延長が可能です。受診できる医療機関は、受給者証の指定医療機関として登録されたところになります。

(2)難病医療費助成

 この制度は、該当する疾患の場合、その疾患と診断がつき、さらに本人の状態が、臨床個人票にある重症度判定基準で一定の重症度にあると判定された場合に、医療費が助成されます。医療費が高額の場合に、自己負担額の上限が所得に応じて変わります。登録されている疾患は、小児慢性特定疾病と重なることも多いですが、異なる疾患もあります。難病情報センターのHPをご覧ください。申請の年齢制限はありません。受診できる医療機関は、都道府県単位で登録されている難病指定医療機関のみです。

(3)自立支援医療(精神通院医療)

 在宅精神障害者の通院費用が、10%負担になる制度です。てんかんを含む精神疾患で適応になります。受診できる医療機関は、受給者証に記載された指定自立支援医療機関になります。

(4)その他

 その他の制度として、てんかんだからという理由ではありませんが、てんかんを持つこどもが当てはまることが多そうな制度を紹介します。子ども医療費助成制度(乳幼児医療など)や障害児(者)医療費助成制度があります。子ども医療費助成制度は、各自治体が小児の医療費を負担する制度です。障害児(者)医療費助成制度は心身障害児(者)に対する助成制度です。
 また、手帳制度として、肢体不自由や呼吸器障害などのある場合には身体障害者手帳、知的障害では療育手帳、精神障害がある場合には精神障害者保健福祉手帳が発行可能です。手当類として、特別児童扶養手当は、投薬や手術で発作が治まらない難治てんかんや、中等度以上の知的障害のある場合には、認められます、また、障害児福祉手当と特別障害者手当、重心障害者手当が重度の障害者に支給されます。制度によっては自治体により、無い場合もあります。障害年金は、知的障害や精神障害が20歳前からある場合には20歳から交付されますが、小児期の経過や受診状況などの申告と診断書が必要になります。

(2023年2月 日本小児神経学会ホームページ委員会QA部会)

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