第56回小児神経学セミナーについて
プログラム (講師敬称略・講義順)
随時更新しますのでお楽しみに!
動画とフォトで見る小児神経学 2026 -脊髄/末梢神経 -
藤井 克則(長野県立こども病院教育研修センター)
小児神経学の多くは神経症候学といっても過言ではありません。神経外来でもご両親のスマホでこどもの症状を見る機会も増えてきた近年、神経症候学の理解はとても重要です。小児神経は難しいと思われる方は多いかもしれません。しかし神経症候から診断して治療に結びつけられたときの満足感ははかりしれません。今回は脊髄・末梢神経の疾患をとりあげ、興味深さを実感できる1時間にできたら幸いです。
発達が気になる子どもの診かた ~神経発達症診療のコツ~
橘 雅弥(大阪大学大学院連合小児発達学研究科附属子どものこころの分子統御機構研究センター)
神経発達症への社会的関心の高まりとともに、発達の遅れや偏りを主訴に受診する子どもが増加している。小児神経科医には、神経学的評価に加え、神経発達症を適切に見立て、支援へ結び付ける診療能力が求められる。本講演では、発達が気になる子どもの診かたの実践的なポイントを概説するとともに、5歳児健診を含めた早期発見・早期支援における小児神経科医の役割について参加される皆さんと考察したい。
血液脳関門透過型アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた細胞種特異的遺伝子導入法とその遺伝子治療への応用
今野 歩(群馬大学大学院医学系研究科脳神経再生医学分野講師,群馬大学未来先端研究機構ウイルスベクター開発研究センター)
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、非病原性で、長期的な遺伝子発現が可能であることなどから、遺伝子治療用ベクターとして近年その利用が広まっている。本セミナーでは、基礎研究のツールとして、われわれが以前から継続的に開発しているAAVベクターを用いた脳の細胞種特異的遺伝子発現技術を紹介する。さらに、抑制性ニューロン特異的な遺伝子発現法を「てんかん」への遺伝子治療へ応用した最新の研究成果についても詳しく解説する。
MOGADの診断と治療 ~指定難病と保険承認に向けた取り組み~
中島 一郎(東北医科薬科大学医学部脳神経内科学)
ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白(MOG)に対する自己抗体が関与するMOGADは、小児ADEMをはじめとする様々な中枢神経病変を生じる疾患として認識されている。全国疫学調査では罹患者は全国に1700人程度と推定されている。診断にはCBA法によるMOG抗体の測定が必須であるが、保険適用されない。また、再発予防として2種類の生物学的製剤の開発が進んでいるものの、指定難病に含まれていないため、公費受給が受けられない。これらの課題を解決するべく診療科を超えた協力が必要である。
Neurofluidに関する最新情報と水頭症
間瀬 光人(名古屋市立大学大学院医学研究科神経機能回復学脳神経外科学)
髄液が脈絡叢のみで産生され、一方向に流れてくも膜顆粒で吸収されるという説は既に否定された。髄液の起源は毛細血管と脈絡叢で,吸収は静脈系とリンパ系ドレナージで行われている.脳内物質排泄機構としてのglymphatic systemが提唱され,髄液腔は脳実質からのdrain機能を担っている.髄液腔と脳間質との間に隔たりはなく,髄液は間質液(細胞外液)のリザーバーである.Neurofluid(中枢神経系の液体を一つのシステムとする造語)動態と水頭症の病態の最新情報について概説する。
見逃してはいけない小児神経疾患~失敗から学んだことなど
熊田 聡子(東京都立神経病院神経小児科)
近年神経疾患に対する様々な治療法が発展し,早期診断の重要性は増すばかりです.しかし希少疾患の診断がなかなか難しいことも事実です.今回のセミナーでは藤井克則先生が脊髄/末梢神経についてお話くださいますので,私は運動異常症(不随意運動症)を中心に動画を見ていただき,診断やそのピットフォールについて,自分の反省も交えながらお話します.運動異常症の病態に関する最新の知見や,機能性(以前の心因性)運動異常症との鑑別の難しさについてもお話しできればと思います.藤井先生のお話と合わせ,症候診断の面白さを感じていただけましたら幸いです.
ランチョンセミナー
レット症候群とその類縁疾患:Chromationopathies
青天目 信(国立病院機構大阪医療センター小児科)
発達性脳症/神経発達障害(Developmental encephalopathy/ Neurodevelopmental disorder)は、重度知的障害と自閉スペクトラム症を中心に、成長障害、てんかんや呼吸異常、運動異常、睡眠障害などを合併する疾患群で、Rett症候群、CDKL5欠損症、FOXG1症候群、HNRNP関連神経症、Pitt-Hopkins症候群などが含まれる。近年、Chromatinopathyという疾患概念が登場し、DNAとヒストンからなるクロマチンの構造や機能の障害により、遺伝子発現制御が障害され、種々のDE/NDDが生じるとされている。本概念について概説したい。
モーニングセミナー
小児神経外来に潜む治療可能な神経代謝疾患の鑑別と治療
成田 綾(医誠会国際総合病院小児科)
先天代謝異常症は1600疾患を超え、85%が神経症状を呈する。疾患1つ1つは極めて稀だが、近年、疾患特異的治療法の開発が進み、早期診断が神経予後を左右する時代になってきたことから、小児神経科的コモンディジーズの中に潜む希少疾患を疑い、まず除外する視点が益々重要となっている。本講演では、日常診察のなかで比較的遭遇する主訴に潜む違和感に気づく視点を、症例を通じて皆さんと一緒に考えたい。
Group discussion
G1− 遺伝:遺伝学的検査の選択、解釈
根岸 豊(名古屋市立大学病院小児科)
小児神経疾患の診療では、遺伝学的検査は今や切っても切り離せない存在であり、基本的な知識が求められます。本セミナーでは、具体的な症例を通して、どの検査を選択し、得られた結果をどう解釈するかを、マイクロアレイやシークエンス解析を中心に、初心者にも分かりやすく解説します。
G2−脳波判読 はじめの一歩―どこから、どう見る?
馬場 信平(国立精神・神経医療研究センター病院脳神経小児科)
脳波判読をこれから始める方、まだ苦手意識のある若手小児科医を対象に、日常診療で脳波を見るための「基礎の基礎」を扱います。デジタル脳波の基本操作、背景活動や異常波をどのような順番で見て、どう記述するのかを整理します。実際の脳波を用いた簡単な演習を通して、判読の「はじめの一歩」を一緒に考えます。専門的な各論には立ち入らず、教科書を読むための入口となることを目標とします。
G3− 倫理
岡崎 伸(大阪市立総合医療センター小児神経内科)
小児神経の臨床現場において、倫理的なジレンマを感じることは少なくはない。
倫理および小児緩和ケアについて概要を説明した後、モデル症例を元に少人数での議論と、引き続き全体シェアを行うグループワークを行う。
倫理的な検討について、ともに学ぶ場にしたい。
倫理的なジレンマの例
■リスクが高い高度先進医療の施行について
■保険適応のない薬や治療法の施行について
■病状が進行した例・最重度の障害がある年長例への侵襲ある医療行為
G4− EEG:Critical Care EEG
福山哲広(信州大学医学部小児医学教室新生児・療育学講座)
ICUや救急現場での急性期脳波(Critical Care EEG:CCEEG)は、意識障害患者における非けいれん性てんかん重積の診断に極めて有用ですが、実臨床では判読に迷うことも少なくありません。主に演者が悩んだケースを提示しますので、判読及び対応についてディスカッションをしましょう。
Clinical Conference:てんかんと白質異常を呈した5か月男児
赤峰 哲(九州大学病院小児科)
特別レクチャー(現地自由参加)
10月31日(土)9:30-/10:30-
1 重症心身障害児・医療的ケア児と小児神経科医
丸山慎介(鹿児島大学病院小児科)
重症心身障害児医療は、小児神経科医が深く関わる診療領域の一つである。このレクチャーでは、その概念と歴史、医療・支援制度について概説し、医療的ケア児との違いを整理する。また、医療的ケア児支援法から2026年の法改正に至る流れにも触れる。さらに、小児神経科医がこれらの医療に携わる意義を示し、疾患を診るだけでなく、子どもと家族の生活を支えるという視点の重要性について考えたい。
2 症例から考える神経発達症診療
内川英紀(東千葉メディカルセンター)
神経発達症の診療では、診断や特性の理解とともに、本人や家族が抱える困りごとをとらえ、生活全般に対する支援を考える必要があります。本セミナーでは、症例を通して、診断や治療とともに本人や家族に対する支援、学校との連携、日々の診療で直面する課題などについて検討します。神経発達症の診療について皆様と一緒に考える機会にしたいと思います。
◆ ◆ ◆

