日本小児神経学会

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学術集会・セミナー
小児神経Q&A

第24回「医療的ケア」研修セミナーについて

プログラム 講師敬称略・講義順)

随時更新しますのでお楽しみに!

多様な医療的ケア児を地域で支える~滋賀県の取り組み~


この子らを世の光に~滋賀の障害福祉・医療の歩みと未来
口分田政夫(社会福祉法人びわこ学園 )

 糸賀一雄は、戦災孤児のための施設「近江学園」を設立した。その後、知的障害児の入所が増え、医療を要する重複障害児のための重症心身障害施設「びわこ学園」を設立した。さらに、大津方式といわれる乳幼児健診システムや福祉圏域構想に発展し、圏域での支援システム構築につながってきた。それらを貫いてきたものは、「人と生まれて人間となる」という発達保障の理念と「この子らを世の光に」という福祉の思想である。


地域の子たちと共に暮らす
花戸貴司(東近江市永源寺診療所)

 私たちの暮らしは、医療、介護、福祉、子育て、生活困窮といった分野ごとに分かれているわけではありません。その背景には経済的な問題や孤立、家族関係の難しさが隠れていることもあります。しかし、現場にいると、誰もが支え手となり、別のときには支えられる側になります。制度の境界を超え、立場を超え、世代や分野を超えてつながる。その積み重ねが「ここで暮らしていける」と思える地域がつくられていくように思います。


個性ゆたかな子どもたちに、調剤薬局ができること~はなちゃん薬局の取り組み
山岡玄馬(株式会社はなちゃん薬局)

 はなちゃん薬局では、約400名の医療的ケア児や障害のある子どもたちへ薬を届ける中で、服薬だけでなく、学校生活や福祉制度、日常生活に関するさまざまな相談をお受けします。その経験から、子どもたちの暮らしをより豊かにするためには、医療・福祉・教育・家族をつなぐ「情報」が重要であると実感しました。本講演では、情報収集・情報共有・情報発信を軸に、地域の調剤薬局だからこそできる支援の取り組みをご紹介します。


地域とともに、暮らしの中の医療的ケア児 〜いろどり・いとなみ〜
松井善典(浅井東診療所)

 滋賀県長浜市の浅井東診療所は、全世代対象の包括的な診療や専門医養成プログラムを展開している。本演題では、プライマリ・ケアの継続性・包括性・協調性の概念のもと、医療的ケア児者への訪問診療における実践とその教育理論について紹介する。また急変対応や成長に伴う在宅”卒業”などにおける多職種連携による家族ケアの具体例を通して、地域の暮らしの場がもつ臨床と教育の「いろどり」と「いとなみ」について述べたい。


多様な医療的ケア児を地域で支える~日本の未来のすがた~


特別講演
「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」から
「医療的ケア児等及び重症心身障害者並びにその家族の支援に関する法律」へ
前田浩利(医療法人財団はるたか会)

 2021年に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が施行され、医療的ケア児支援は大きく変わった。しかし、子どもの成長は速い、医療的児はあっという間に成長し、いわゆる「18歳の壁」に直面する。この問題を解決するため多くの方の力によって、医療的ケア児者を対象とした法律の改正が進んでいる。この法律は、我が国の障害児者支援を大きく変え、地域の景色を変えると思われる。それをお話したい。


基調講演
医療的ケア児支援の過去、現在、そして滋賀県の未来

奈倉道明(埼玉医科大学総合医療センター小児科)

 わが国は少子化であるも関わらず、医療の進歩によって医療的ケア児(以下、医ケア児)が増えている。私は医ケア児に関する制度を充実させるべく、2013年に厚生労働省に奉職した。2015年に現場復帰後も、わが国の医療的ケア児支援の政策に関わってきた。当セミナー会場の滋賀県は、びわこ学園を創設された糸賀一雄氏の精神のもとに、障害児の福祉と発達保障を大切にする文化が根付いている。そのような滋賀県こそ、医療的ケア児支援の充実が期待できる。


シンポジウム:私たちは障害児者・医療的ケア児とともにある

・思いを形に~訪問看護とTen Colors Dream の活動を通して
福地章江(訪問看護ステーションりぷる)

 医療的ケアを必要とする子ども達や、そのご家族が地域で安心して暮らすために、どのような支援が必要なのかを考えてきました。訪問看護を通して、ご家族の声を聞く中で、「どこに相談したらいいのか分からない」という声に出会い、支援につながる場の必要性を感じました。そこで悩みや情報を共有し、みんなで支え会える場を作りたいと活動を始めました。一人では難しい事も、想いを持つ人が集まれば形にできる。そんな思いを大切にTen Colors Dreamで、子ども達とご家族を地域全体で支える活動を行っています。その活動についてお話しできたらと思います。
・助かった命のその先~医療的ケアとともにご機嫌に生きる娘の20年の育ちと、それを支えてくれる大好きな人たちのこと
林めぐみ(患者家族)

 24時間の医療的ケアを必要とする娘が、20年の中で育んできた歩みを親の視点からお話しします。これまで娘に関わってくださった人たちから教わったことや、体調を優先しじっくり「待つ」時期を経て周囲の温かい支援のもと育ってきたこれまでの経験と、医療・教育・福祉それぞれの力をお借りしながら社会の中で少しずつ広げてきた娘の世界についてお伝えします。
・障害児者医療において病院勤務医が果たせる役割は何か?
柴田 実(滋賀県立総合病院小児科)

 障害のある子ども達への支援には、家庭、医療、教育、福祉など多方面の連携が不可欠であるが、特に医療的ケアを要する患者では医療の果たす役割は大きい。一方、医療的ケアは生活の一部となり、医療行為と生活行為の境界は曖昧である。病院での診療を主とする勤務医が、患者が生活する場で行われる医療をいかに支援・指導するかが課題となる。県立病院として当院が果たす役割について考えたい。
・医療的ケア児の世界を広げる~遊び・挑戦・そして成長~
熊田知浩(くまだキッズ・ファミリークリニック)

 医療的ケア児は、ともすれば生命の安全が優先され、健常児ができるような日常的な遊びやお出かけ、学校行事や旅行などに制限がかかり、「遊んで、チャレンジして、失敗して、成長していく」経験を十分積みにくい環境にある。今日は、医療型特定短期入所施設や余暇活動ボランティア、医療的ケア児支援センターの学校生活支援で、医療的ケア児と一緒に挑戦してきた活動を紹介し、医療的ケア児の経験を広げるために私たちにできることを皆さまと考えていきたい。
・ゆたかな育ちや生活を支えるリハビリテーション
加納雪絵(びわこ学園医療福祉センター草津)

 エネルギッシュな利用者とのかけがえのない時間、その後次々と訪れた機能低・高齢化の波、そして看取り。活動保障が難しくなる中で、作業療法士である自分にできることを模索している日々に導いてくれたたくさんの利用者。現在、作業療法士の専門性を活かし、生活をベースに支援するに至ったびわこ学園センター野洲での20年の経験を振り返る。
・自分のidentityとは
河井孝典(社会福祉法人びわこ学園障害者支援センター)

 私は重症心身障害児・者および医療的ケア児・者の支援に携わり約26年になります。その歩みの中で、支援する立場でありながら、むしろ彼ら彼女らとの出会いや関わりを通して、自身のアイデンティティや価値観が大きく変容し、再構築されてきました。本講演では、重症心身障害児・者、医療的ケア児・者を「支援を受ける存在」としてだけではなく、周囲の人々の成長や価値観に影響を与え、他者の自己実現を支える「他己実現」の存在として捉え直します。自身の経験を振り返りながら、アイデンティティ形成の過程とその定着について考察する。
・障害児者とともに歩んできたことで気づけた日本の豊かさ 
永江彰子(びわこ学園医療福祉センター草津)

 2019年12月、びわこ学園でのミキサー食導入と同時に、注入用コネクタが旧から新規格となった。その際に国際規格を知り、世界と日本の医療や栄養事情の差に注目するようになった。そして、食育や食事の豊かさのみならず、障害児者とともに生活していること自体の日本の豊かさを知った。グローバル化が押し寄せるところで、守るべきものと広げるべきもの、国際戦略など、ニッチな領域とは似合わない響きかもしれないが、重症児者の食事と向かい合う間に色々な経験をさせてもらっている。


 

 

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