日本小児神経学会

会員専用ページログイン
Last Update:2022年12月16日

小児神経Q&A

Q52:子どもの頭痛と治療について教えてください。

 かぜ症状もないのに頭痛を訴えることは幼児期からあります。頭痛は本人しか分からない症状なので、診断にはどの年齢でも問診が中心になります。外来で一番多いのは大人同様子どもでも片頭痛です。片頭痛は特定の家族に多い病気で、特に母親が片頭痛をもつことが多く、家族歴が子どもの頭痛の診断の参考になります。片頭痛では、見ようとするところがぼやけて回りがきらきらするなどの目の症状や感覚の異常が頭痛の前に起こることがあります。子どもの片頭痛は、前頭側頭部であれば両側でもよく、頭痛の持続時間は1~72時間(大人は4~72時間)です。ズキンズキンする脈打つような痛みで、嘔吐や吐き気、光、音、臭いに敏感になることがあります。テレビ等の視覚や音刺激はいやがり、暗い静かな部屋で寝たがる子が多いです。

 片頭痛が発作性の強い頭痛であるのに対し、緊張型頭痛は強くはありませんがだらだら続く、締め付けられるような頭痛です。思春期ほど多くはないのですが、年少児もストレスがかかると慢性的に緊張型頭痛を訴えることがあります。
 片頭痛も緊張型頭痛も、子どもに勧められるのはまず薬によらない治療です。早寝早起きは頭痛の予防に有効で、睡眠時間を1時間多くしたことで頭痛が改善する子もいます。子どもの生活を見直し、おけいこ事などを整理して、生活をシンプルにするのも一案です。片頭痛の場合、睡眠時間以外に食物や光などの頭痛の誘因(きっかけ)を除くことも大切です。席を窓側から廊下側に移動したら片頭痛発作が減った子もいました。子どもの頭痛で薬が必要な場合、まず解熱鎮痛薬(イブプロフェン、アセトアミノフェン)が使われます。頭痛が始まってすぐに飲むと効きがよいので、学校に1回分持たせ、先生に頼んでおくとよいでしょう。

2022年10月 日本小児神経学会広報交流委員会QA部会

このページの先頭へ