日本小児神経学会

会員専用ページログイン
Last Update:2022年12月16日

小児神経Q&A

Q49:ニーマンピック病C型とはどのような病気でしょうか?

 ニーマンピック病にはA型、B型、C型があります。A型、B型は脂質を代謝する酵素の異常により発症する疾患、C型は細胞内の脂質の輸送に関与する蛋白質の異常により発症する疾患で両者は異なる疾患です。
 ニーマンピック病C型は発達の遅れ・退行と肝臓・脾臓の腫大を来す稀な遺伝性の病気です。発症は新生児から成人までいずれの時期でもみられ、発症時期により症状が異なります。日本人でもっとも多い幼児期発症の患者さんの典型的な症状は、発達の遅れと歩行のふらつき(運動失調)、笑うと力が抜ける発作(カタプレキシー)、肝臓・脾臓の腫大で、徐々に症状が悪化します。1―2年すると足の硬さ(痙性やジストニア)も見られるようになり、次第に歩きにくくなってきます。発音不明瞭(構音障害)や食べ物の飲み込みにくさ(嚥下障害)、知能の低下も加わり、学童期には寝たきり状態となります。てんかんを併発することも多いです。学童期や青年期になってから発症する場合は学習の困難や行動上の問題、不器用さ、転びやすさなどを認めます。成人では幻覚、妄想などの精神症状で発症する場合もあります。幼児期発症の患者さんと比べて緩やかですが症状は進行します。学童期以降の発症の場合、肝臓や脾臓の腫大を認めない場合もあります。

 診察所見では、肝臓・脾臓の腫大と眼球が上下方向に動かないことが特徴です。診断には骨髄や皮膚を採取する必要があります。

2022年10月 日本小児神経学会広報交流委員会QA部会

このページの先頭へ